反 位     それは生の方位へ 堀 剛

少年の 過ぎし日の 懐かしく 今、反復する 失意のリフレーン 乾いた砂を手のひらで 君は掬い 君は落とす 仕草の内部で 何が溶解していたのだろう 夏の日差しに刺されて 僕らは 停止しているはずではなかったか
恋 鬱 うつつの 面影 トラウマ 重なる 浜の風景に やり場ない輪廻 凡夫の 尚、走る 夕日の浜辺 哀しみを全力で 投げる 石に乗せ 二、三度はねて 沈む 夕暮れ 胸騒ぎに 潮ひく 海辺 水を追う 海を追う 砂浜深く 身体を埋めて いつか帰って来る潮に 身を預けるために
遠くに 聞く 夜の 微かに 秋の響き 断念のベクトルに 反位の抗力 見え隠れして だが やはり 詩 それから 書き始める
潮の音 遠く 浜の記憶 出会うはずがない 面影 蘇る 青い水面 記憶の中の僕を 現在に重ねて 僕という誰かを 今日は生きてみる 憎んだり 愛したり などと 行為を 存在に重ねるために 水面に虚ろに映る風景のように 僕という誰かを 今日も生きてみる
浜 夕暮れて 流れ星 一瞬の 現在に 消えて行く 断念の 一行目に朱の線をひく 彼方へと 輝いて
夜空の ダークブルー 永遠 遠い孤独 星 星、☆ 神秘なものへは 沈黙すら 関与しないのだとすれば 僕は何を祈ればいいのだろう 早朝 神を呼ぶつもりが それはどんな言語で それは誰の言葉で
言葉マグナム 放つ 貝に 耳 息吹 ささやく 忘却の さながら 言葉の 放つ 頂点 超え得ぬ言語 それからのために マグナム 過激な別れの 儀式のために すれ違う 遠ざかる 反位へと
エロ小説 溢れる エロ詩 書かれず 読まれず 抱く 書く 言葉 思想 追われて 袋小路 刹那 瞬間 真理 僕の 現在 放つ 言葉のための 行為 絵画の断片 モノトーン 宇宙 閉じて行く 恋 文
狂い始めて 海 出生と死の間に 今日も置かれて 海辺の街 歩けば 消えている 街灯という街灯 いつも 生まれて来た日から 夕暮れている だが 生き延びようとする やがて来る反位への 抗力 秘めて 別れ言葉 予定して なお、生き続ける選択の 詩へと確かに 接近するために
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透徹の 視線 爽やかさ まぎれなく 躊躇わない 道標の出会いに 世界の老いていく方位に 僕もいる だから 手を振る 未来と それからの方位に向けて