反 位

堀 剛

少年の

過ぎし日の

懐かしく

今、反復する

失意のリフレーン

乾いた砂を手のひらで

君は掬い

君は落とす

仕草の内部で

何が溶解していたのだろう

夏の日差しに刺されて

僕らは

停止しているはずではなかったか

*


恋

鬱

うつつの

面影

トラウマ

重なる

浜の風景に

やり場ない輪廻

凡夫の

尚、走る

夕日の浜辺

哀しみを全力で

投げる

石に乗せ

二、三度はねて

沈む

夕暮れ

胸騒ぎに

潮ひく

海辺

水を追う

海を追う

砂浜深く

身体を埋めて

いつか帰って来る潮に

身を預けるために

*


遠くに

聞く

夜の

微かに

秋の響き

断念のベクトルに

反位の抗力

見え隠れして

だが

やはり

詩

それから

書き始める

*


潮の音

遠く

浜の記憶

出会うはずがない

面影

蘇る

青い水面

記憶の中の僕を

現在に重ねて

僕という誰かを

今日は生きてみる

憎んだり

愛したり

などと

行為を

存在に重ねるために

水面に虚ろに映る風景のように

僕という誰かを

今日も生きてみる

*


浜

夕暮れて

流れ星

一瞬の

現在に

消えて行く

断念の

一行目に朱の線をひく

彼方へと

輝いて

*


夜空の

ダークブルー

永遠

遠い孤独

星

星、☆

神秘なものへは

沈黙すら

関与しないのだとすれば

僕は何を祈ればいいのだろう

早朝

神を呼ぶつもりが

それはどんな言語で

それは誰の言葉で

*


言葉マグナム

放つ

貝に

耳

息吹

ささやく

忘却の

さながら

言葉の

放つ

頂点

超え得ぬ言語

それからのために

マグナム

過激な別れの

儀式のために

すれ違う

遠ざかる

反位へと

*


エロ小説

溢れる

エロ詩

書かれず

読まれず

抱く

書く

言葉

思想

追われて

袋小路

刹那

瞬間

真理

僕の

現在

放つ

言葉のための

行為

絵画の断片

モノトーン

宇宙

閉じて行く

恋

文

*


狂い始めて

海

出生と死の間に

今日も置かれて

海辺の街

歩けば

消えている

街灯という街灯

いつも

生まれて来た日から

夕暮れている

だが

生き延びようとする

やがて来る反位への

抗力

秘めて

別れ言葉

予定して

なお、生き続ける選択の

詩へと確かに

接近するために

*


透徹の

視線

爽やかさ

まぎれなく

躊躇わない

道標の出会いに

世界の老いていく方位に

僕もいる

だから

手を振る

未来と

それからの方位に向けて