何かになりたい

堀 剛

「俺は俺になりたい」などとは

何と唐突な言葉だろう

何かになりたいと思ったのは

中学一年生の頃だった

無線通信士に始まって

レーシングドライバー

物理学者

どれもこれも夢のままで終わってしまい

今はそれなりの

容器に入れられたように

納まっているのだが

何かになりたいと思っていた僕とは

いったい何者だったのだろう

きっと、この世の何になっても

何かになりたいという思いは消えはしないだろう

何になっても何かになりたい

何かになっても別の何かになりたい

あるいは

何かになっても僕こそ誰かを知りたい

だから僕は僕になりたかったのだと

今日は、一人呟いている